つわり:本当に効く対処法
つわりは妊娠で最も多くの人が経験する症状です。妊婦のおよそ70〜80%にみられ、平均して妊娠6週から14週まで続きます。「朝のつわり(morning sickness)」と呼ばれますが、その名前に反して一日のどの時間帯にも起こり得ます(夕方の方がひどいというお母さんもいます)。よい知らせとしては、臨床現場で有効性が確認された対処法がいくつもあります。簡単に試せるものから、産婦人科の助けが必要なものまで、順を追って見ていきましょう。
まず最初に:つわりとは何か(そして何でないか)
妊娠初期のつわりは、着床に伴うホルモンの急激な変化が原因です。特にhCG(妊娠検査薬を陽性にするホルモン)とエストロゲンが関わっています。つわりは妊娠が「弱い」「強い」を示すサインではありません。つわりがなくても順調な妊娠を送る方もいれば、強いつわりがあっても同じく順調な妊娠を送る方もいます。
通常のつわりは、つらくはあっても十分に食べたり飲んだりすることを妨げません。しかし、1日に4回以上嘔吐する、体重が減少する(妊娠前体重の5%以上)、水分すら受け付けないという場合は、妊娠悪阻と呼ばれる重症型の可能性があります。その場合は家庭での対処ではなく医療的な治療が必要で、すぐに産婦人科を受診してください。
食事の基本4ルール
どれも当たり前のように思えますが、組み合わせて実践すると80%のケースで効果があります。一つだけ単独で試しても大きな変化は出にくいので、4つすべてを同時に実践することが大切です。
1. 少量を頻回に食べる(空腹を作らない)
血糖値の低下はつわりの最も強力な引き金の一つです。3食しっかりではなく、1日6〜8回の小さな食事に分けましょう。2〜3時間以上、何も口にしない時間を作らないでください。クラッカーを枕元に置いて、起き上がる前に2枚食べるのがおすすめです。夜間の絶食状態(朝のつわりが最もひどい時間帯)を断ち切るのに役立ちます。
2. 食事中ではなく食間に水分をとる
食事と一緒に水分をとると胃が膨らんで、つわりが悪化します。水分補給は食事と時間をずらして、少しずつ飲みましょう。レモンを数滴垂らしたわずかに酸味のある冷たい水や炭酸水が向いています。多くの妊婦さんにとって、炭酸の刺激は吐き気を和らげてくれます。当面は、濃いフルーツジュースや甘い飲料は避けてください。状態を悪化させます。
3. 乾いた、冷たい、薄味の食べ物を選ぶ
温かい料理は強い匂いを放ちますが、妊娠中の嗅覚は30〜50%も鋭くなっています。そのため、多くのお母さんが次のようなものなら受けつけやすいと感じます。
- クラッカー、ラスク、グリッシーニ、固くなったパン。
- 歯ごたえのあるフルーツ(りんご、梨)。
- 冷たいヨーグルト、フルーツのアイス。
- オイルと少しの塩で和えた冷たいパスタやごはん。
- 茹でじゃがいも、バナナ、茹で鶏。
つらい日に避けたいもの:揚げ物、こってりしたソース、強い香辛料、苦みの強い柑橘類、コーヒー、生の玉ねぎ。
4. 朝はたんぱく質、夜は炭水化物
朝のたんぱく質(ゆで卵、ギリシャヨーグルト、脂身の少ないハム、アーモンド)は血糖値を長時間安定させ、午後早めのつわりを軽減してくれます。一方、夜には複合炭水化物(パスタ、ごはん、全粒粉パン)を選びましょう。夜間の血糖値低下を防ぎ、朝のつわりが軽くなります。
科学的根拠のある自然療法
薬を使わない対処法のうち、妊娠つわりの軽減について良好な臨床エビデンスがあるものが3つあります。いずれも記載の用量を守れば妊娠中も安全です。
ショウガ(ジンジャー)
最もエビデンスが豊富な自然療法です。複数のランダム化試験で、つわりの強さを有意に軽減することが示されており、その効果はビタミンB6に匹敵します。
有効な用量は1日あたり1〜1.5 gのショウガパウダーで、3〜4回に分けて摂取します。次のような形で取り入れられます。
- ショウガのキャンディーや砂糖漬け(つわりが来たら1〜2粒)。
- ハーブティー:すりおろした生姜をお湯に入れて、はちみつを小さじ1杯加える。
- 薬局で買える250 mgのカプセル(1日4カプセル)。
抗凝固薬を服用している方や、凝固障害がある方は避けてください。産婦人科で確認してもらいましょう。
ビタミンB6(ピリドキシン)
国際的なガイドライン(ACOG、NICE)で第一選択とされている対処法です。用量は10〜25 mgを1日3回。妊娠中も安全で、薬局で処方箋なしで購入できます。多くの場合ドキシラミンと組み合わされた、妊娠つわり専用の合剤として提供されています。イタリアでは「Xonvea」という名称で販売されています(処方箋が必要)。
指圧:Sea-Bandリストバンド
手首の内側、手のひらの付け根から指3本分の位置にある内関(P6、ネイクァン)のツボを、プラスチック製の小さな突起で押す細いゴムバンドです。もともとは船酔い対策として使われていたものですが、副作用なしでつわりにもよく効きます。薬局で10〜15ユーロほどで購入でき、両手首に装着して使います。
奇跡を期待しないでください。つわりを30〜40%程度軽減する効果ですが、コストも副作用もゼロなので、まず試してみる価値のある対処法の一つです。
睡眠と環境の整え方
些細なことに思えますが、影響は大きいです。
- 8〜9時間眠る。睡眠不足はつわりを悪化させます。妊娠中は普段より多くの休息が必要になるのは自然なことです。体の声に耳を傾けましょう。
- ゆっくり起き上がる。立ち上がる前に1〜2分はベッドに座ったままでいましょう。起床時の血圧低下はつわりの引き金になります。
- 寝室を換気する。夜間にこもった匂い(キッチン、寝具、香水など)は眠っている間に部屋に滞留します。
- 強い匂いを避ける。強い香水、タバコ、揚げ物器、ガソリン、生魚など。パートナーが料理をするときは窓を開けてもらいましょう。
- 顔に冷たい水を当てる。つわりの波が来たら、とても冷たい水で顔を洗いましょう。潜水反射が迷走神経を刺激し、30秒ほどでつわりが治まることがよくあります。
避けたいこと(「みんなが勧めても」)
- カモミールの大量摂取。高用量では子宮を刺激する可能性があります。たまに1杯飲む程度なら問題ありませんが、毎日のお茶として飲み続けないでください。
- ペパーミントのエッセンシャルオイル(経口摂取)。ディフューザーでのアロマセラピーは大丈夫ですが、経口で摂取しないでください。
- 意図的な絶食。「どうせ吐いてしまうから」と食事を抜くのは最悪です。絶食はさらに強いつわりを引き起こします。
- コーラや甘い飲料。速吸収の糖は一気に血糖値を上げますが、その後急降下し、反動でつわりを引き起こします。
産婦人科を受診すべきタイミング
「自分一人で抱え込まないで」というサインは次のとおりです。
- 3日連続で1日に4回以上の嘔吐。
- 12時間以上水分を保持できない。
- 妊娠開始時から2〜3 kg以上の体重減少。
- 尿が非常に濃い、または量が少ない、めまい、強い倦怠感。
- 血液や緑色・黄色がかったものを吐く。
- 14週を過ぎてもつわりが軽くなるどころか悪化する。
こうした場合、産婦人科は妊娠中向けの制吐療法(ドキシラミン+B6、オンダンセトロン、メトクロプラミドなど)を処方できますし、重症の場合には点滴による水分補給のための短期入院を提案することもあります。これは敗北ではありません。妊娠悪阻は実在し、治療できる医学的な状態です。
本当にどれくらい続くのか
妊娠中のつわりは9〜10週ごろにピークを迎え、大多数の女性で14〜16週までに大きく改善します。少数派(およそ10〜15%)では、軽い波となって20週ごろまで続くことがあり、まれに出産まで残る方もいます。この時間軸を知っておくと、つらい数週間を乗り切る助けになります。今この瞬間、体が協力してくれないように感じても、あなたはすでにたくさんのことをしています。
まとめ
食事の工夫(少量を頻回、朝はたんぱく質、食事中の水分は控える、乾いた冷たい食べ物)で約80%のケースに対処できます。残りの20%にはショウガ、ビタミンB6、指圧リストバンドを追加しましょう。頻回の嘔吐と体重減少が現れたら、産婦人科を受診するタイミングです。明確なピークと予測可能な改善の時期がある一段階だと知っておくと、つわりはずっと乗り越えやすくなります。